【製造業のホコリ対策】静電気がもたらす悪影響を解説する前に
こんにちは!
ホコリ・異物混入対策の専門メーカーの株式会社ディーオです。
私たちは、集塵機や、その先端に取り付ける集塵装置をオーダーメイドで製造しています。
製作前に、本当に異物が除去できるかを試す検証テストを行うのですが、
その際に付着した異物が全く取れないという現象がたまに起こります。
理由は色々ありますが、中でも静電気が影響しているという事例が最も多く挙げられます。
本日は、製造業のホコリ対策において静電気がもたらす悪影響についてお話していきたいと思います。
是非最後まで読んでください。
業界初!フィルターが詰まると、スマホPCに通知
IoT小型集塵機emsiot
なぜ静電気がホコリと関係があるのか
Googleで「異物除去 方法」と検索すれば、沢山の解決案がヒットしてきますが、どの記事も大きく分けて、
エアブローによる異物除去か、静電気除去による異物除去の2つの方法が主な解決策として挙げられます。
エアブローでの異物除去は、単に付着した異物をエアーで飛ばすというシンプルな原理ですが、
果たして静電気を除去する事と、異物を除去する事にどのような関連性があるのでしょうか。
過去に静電気についてお話したことがありますので、もしよろしければこちらの記事も併せて読んでください。
静電気がもたらす悪影響:そもそも静電気とは
要約すると、静電気はマイナス電子の移動によって発生する電気の事で、集塵機業界の認識としては、
この移動によってワークがホコリをキャッチしてしまうという事です。
物にはプラスとマイナス両方の電子が同じ数だけ存在して、普段は互いに打ち消し合って静電気を発生する事はありません。
しかし、人や機械が動く事によって摩擦が発生し、マイナスの電子が片方に乗り移ってしまい、
電子のバランスが乱れる事によって静電気を発生させます。
このように、人の皮膚はプラス電子を好む性質なので、マイナスの電子が突然移動してくることによってバチっと感じます。
そのため、日常生活における静電気=バチっくらいで捉えている方も多いと思いますが、
物質同士の相性を深堀していくと答えが出てくるでしょう。
工場で静電気が発生してしまう理由
マイナスの電子の移動によって静電気が発生する事はわかりました。
では、それと工場で発生する異物とどのような因果関係があるのでしょうか。
まず、製造業の工場に共通して置かれている物を考えてみます。
物を作るには、作業者は絶対必要です。
その作業者の
- 髪の毛
- 皮膚
- 作業着
- 機械(アルミ、鉄、樹脂)
- 工具
- テープ(セロファン)
- ゴム
など、先程の表で見たら片方の電子を帯びやすい物質が沢山あります。
だから工場は静電気の宝庫を言っても過言ではありません。
また、その物質・機械は全て「何かしらの動作を伴う」ので、
あちらこちらにホコリ、切りくずなどが移動します。
除電器を付けているから大丈夫という訳でもなく、空間全体を正しく除電しない限り、
細かいホコリをキャッチする事は出来ないので、工場と静電気は切っても切れない関係性があると言われているのです。
静電気がもたらす悪影響:クイックルワイパーのはなし
工場は特段ホコリや静電気が発生しやすいですが、家庭でもほとんど同じことが言えます。
少し掃除を怠るとホコリまみれになりますし、場所によっては掃除機が使えないところもあるので、
丁寧に掃除をするにはある程度時間がかかります。(本棚やテレビラックなど)
そんな細かい場所を楽に掃除出来るアイテムとして、“はたき”などがあります。
見た目はシンプルで、先端にホコリを絡めて取る原理なのですが、細かく言うと、
これは静電気の原理を利用してホコリをキャッチしています。
網状の繊維(開繊糸)が先端についており、掃除する際にこれを擦って摩擦を加えて事によって、
瞬間的な電子の移動を起こします。
ホコリがはたきに吸着して、空間にホコリをまき散らす事なく掃除が出来るという原理です。
個人的には、これが最強のホコリ除去ツールだと思うのですが、はたき自体の掃除が面倒である事と、
定期的に新品に交換すると値段が高いという欠点がありますよね。
そのため、家庭内では大ヒットしていますが、工場内ではあまり使われていません。
製造業のホコリ対策では小さいホコリほど厄介
ホコリと一言で言っても、材質や大きさ、工場内での許容範囲などはそれぞれです。
それくらい大きなホコリがあると製品にどのような影響があるのかを自社で定める事によって、
ゴールが明確になり具体的な改善案を出しやすくなりますので、
弊社では予めホコリの限界許容範囲を決めて頂く事になっております。
この異物の大きさのことをparticulate matter(パティキュレイト マター)といい、
一般的には、PM2.5などの名称だと何となくわかるという方も多いのではないでしょうか。
2.5という数字は㎛単位を指し、日本語で直訳すると「物質の大きさ2.5㎛」という意味です。
細かすぎて肺の奥まで入り込んでしまうから良くない物質の大きさという指標らしいのですが、
他の物質で言うと、花粉で50㎛、綿埃で30㎛、ハウスダストで15㎛くらいの大きさになります。
ちなみにですが、これらはめちゃくちゃ小さい物質で、詳しく形状を見るなら顕微鏡を使わないと見れないレベルです。
そして、ホコリには「小さくなればなるほど引っ付く力が強い」という特徴があります。
もし50㎛以下のホコリが品質に影響を及ぼすのであれば、
残念ですが、多少掃除を頑張ったところで解決する可能性は限りなく低いですし、
数十万円の予算で解決する事も困難だとお考え下さい。
製造業のホコリ対策で小さいホコリを除去するのに最適な方法とは
先程から申し上げている通り、静電気対策は絶対必要になります。
基本的にマイナス電子の移動が全く起こらないのであれば、ホコリは付着しませんが…
さすがにその環境を作るのは難しいと思います。
加えて、これはあくまで付着させないようにする対策であり、
それでも付着してしまった場合などを考慮すると、それだけでは若干不十分でもあります。
製造業のホコリ対策メーカーとして創立15周年を迎える私達が最も推奨するのは、
風の流れを考慮した「除電+パルスブロー」による異物除去です。
先ず、除電だけで解決できない多くの場合は、空気の流れを無視してしまっていることが原因として挙げられるので、
ブロワによって吸い込まれる空気の邪魔をしないような設計を心がけることが大切だと考えています。
例えば、ベルトコンベアをこのようなボックスで囲い、空間の異物を除去するとします。
空間全体の静電気は除去できても、空気がどのように排出されるかを無視してしまっているので、
異物を集塵出来ずに結局静電気の再帯電を促す事となります。
そのため、異物を除去する空間を局所的に除電した後、何かで接触させてワークから
異物を取り除いてあげるのがベターです。
この方法は、主にブラシやエアブローによって取り除くのですが、
精密機器や食品のセンシティブな取り扱いを要する機材には、
やはり圧縮エアーによって異物を吹き飛ばす事が最も安全に除塵できる方法とされています。
では、この場合はどうでしょう。
この場合、せっかく異物を飛ばすことが出来たのに、吸引口と真逆の方向にエアブローを吹いてしまっているので、
浮遊した粉塵は行く当てが無くなって下に落ちていき、結果として再付着を誘導してしまいます。
具体的な手法は実際の環境によって変わるので一概に言えませんが、
このように風の流れを意識するだけで大きく改善が見込める場合があります。
製造業のホコリ対策におけるパルスブローの良さとは
異物を吹き飛ばす際、多くの工場でエアブローが使われていますが、エアブローにも、
ストレートエアーとパルスエアーの2種類存在する事をご存じでしょうか。
圧縮エアーを利用して異物を飛ばしたりするエアーノズルで、
一瞬でホコリを吹き飛ばすことが出来るのでかなりオススメです。
しかし、スーパースローカメラで見ると分かるのですが、直線方向に吹きかけるエアーには
粉塵を抑え付ける性質があり、局地的に粉塵を取るには時間と空気量を要します。
一方、そのようなデメリットを改善したのが、パルスブローと呼ばれるエアーノズルです。
円筒の中心にチューブがあり、圧縮エアーを繋ぐとそのチューブが遠心回転して空気が噴射されます。
すると、エアーが円を描くように噴射されますので、瞬間的に清掃出来る範囲が広くなります。
また、ワークに対して微振動が与えられて、異物の剥離効果も高くなると言われています。
ご興味があれば、「パルショット」で検索してみて下さい。
【製造業のホコリ対策】静電気がもたらす悪影響まとめ
以上が「【製造業のホコリ対策】静電気がもたらす悪影響について」でした。
いかがでしょうか。
除電器を購入したら解決!というほど簡単ではなく、ホコリ対策は意外と奥が深い事を知って頂ければ嬉しいです。
自社で少し頑張れば解決する事も沢山ありますが、思い切って当社のような専門メーカーに依頼する事も、
考え方によっては十分採算が合います。
仮に500万円費やしたとしても、自力で対策する場合の年間人件費や不良品率を考えると、
多くの場合は3年、長くても5年で元が取れるケースは多いです。
まずは問い合わせだけでも頂けると、最適な対策方法をお伝え出来る可能性がありますので、
お困りの方は遠慮なくご連絡頂けますと幸いです。
株式会社ディーオは、設備環境改善に関するカウンセリングを無料で行っております。
ありがとうございました~。
業界初!フィルターが詰まると、スマホPCに通知
IoT小型集塵機emsiot