集塵機フィルターのぶっちゃけ話

集塵機フィルターのぶっちゃけ話

はじめに ~集塵機フィルターのぶっちゃけ話を解説する前に~

こんにちは!
ホコリ・異物混入対策の専門メーカーの株式会社ディーオです。

私たちは工場で使われる「集塵機」という機械を製造販売しております。
日々の営業活動の中で、お客様からたまにこんな質問をされることがあります。

フィルターってぶっちゃけ毎回交換する必要あるんですか?

確かにそうですよね。何十万もする集塵機を購入して、
毎回フィルターを交換していたらランニングコストがバカにならないですからね。

そこで、今回はフィルターに関するお話をしていきたいと思います。

先に結論をお伝えすると、
ケースバイケースという答えになってしまいます。

その理由を知った上で、皆様の工場でどのような方針にするかを決めて頂ければと思います。
少しでも参考になれば幸いです。

集塵機のフィルターの役割

まず、集塵機の構造から見ていきます。

集塵機のフィルターの役割

形は違えど、基本構造は掃除機にとても似ていて、特に特殊な設計がある訳ではありません。

ファンと呼ばれる風を吸い込む機械が内蔵されており、
その機械が動くことによって「吸引圧力と風量」が発生します。

この圧力と風の力で、空気と粉塵が一緒に集塵機内に入っていくという非常にシンプルな機械です。

価格帯は、数十万円~数百万円とかなりのバラつきがありますが、どれだけ高級な集塵機でも、
この基本構造は変わりません。

空気を吸い込むという事は、その吸い込んだ分だけの空気を別の場所から吐き出す必要があり、
そのまま使用すると、せっかく吸い込んだ粉塵が外に漏れてしまいます。

だから、「フィルター」を使って集塵機内で粉塵を受け止めてあげるバリア的存在が必要になります。

実は、集塵機のフィルターは1つの機械に3つも搭載されている事が多いです。
1次フィルター、2次フィルター、排気フィルターという名前で呼ばれていますが、それぞれ違った役割があります。

1次フィルター:吸い込んだ粉塵をキャッチして一か所にまとめる

当たり前ですが、フィルターパックはいつか絶対に満杯になります。

その時に簡単に交換できる仕組みを作るために、基本的にはフィルターは使い捨てができるようになっています。

作業者様としては、頑丈なフィルターを毎回洗って再利用するよりも、
安いフィルターを毎回交換する方が楽なので、非常に利便性が良いです。

二次フィルター:ブロアに粉塵が侵入するのを防ぐ

先程ご説明したブロアと呼ばれる風を吸い込む機械ですが、中に扇風機の羽みたいなものが数枚入っており、
それが回転することによって風の吸引ができます。

この羽はかなり高速で回転しているため、この中に硬い粉塵などが入ると、羽が折れてしまいます。
ブロアは集塵機の心臓部分で、もし故障すると修理が難しいので可能な限り守ってあげる必要があります

排気フィルター:外に粉塵をまき散らさないようにする

肉眼で見えるか見えないかくらいのサイズの粉塵の場合、フィルターを突き抜けてしまう事が稀にあります。

そうなると、せっかく吸い込んだ粉塵が外に駄々洩れになって本末転倒となりますので、
最後の門番的な存在で付けられています。

このように、吸い込んだ粉塵が外に漏れないよう機械の中でキャッチしてくれるので、
フィルターは必要不可欠な存在です。

また、このフィルターに粉塵が沢山入り込み満タンになると、フィルターが詰まってしまいますので、
その分風の通り道が少なくなり、吸引力が低下します。

そのため、定期的にフィルターの清掃・交換は必須になります。

なぜ役割を分けて何枚もフィルターを入れなければならないのか

確かにその通りで、そうなると二次と排気用のフィルターは必要ありません。
しかし、集塵機メーカーがそれをしないのは、いくつかの理由があります。

フィルターを入れる理由①:吸引力が落ちる

フィルターは粉塵をキャッチする目的で、中身が満タンになると吸引力が落ちるとお話しましたが、
どんなに細かい粉塵もキャッチしてくれるフィルターになると、その分だけ風の通りが悪くなり、
慢性的にフィルターが詰まっているような感じになってしまいます。

台所で使うザルとキッチンペーパーのようなイメージです。

例えば、揚げ物を作った後、油を再利用するためにザルに流して濾したとします。
ザルの場合は目が粗いので、大きな揚げカスしかキャッチしない代わりに油の通過スピードは速いです。

一方、目が細かいキッチンペーパーを使って濾した場合、小さい揚げカスまでキャッチしてくれる代わりに、
ろ過するまでかなりの時間がかかります。

なぜ役割を分けて何枚もフィルターを入れなければならないのか

これと同じ現象が風でも発生するので、集塵能力が落ちてしまいます。
これを防ぐために、あえて少し粗いフィルターを何層かに分けて風が通り抜けやすくしています。

フィルターを入れる理由②:ランニングコストが高くなる

きめ細かい高級なフィルターを使うと、もちろんそれだけのコストが発生します。
一次フィルターは基本的には使い捨てるものなので、そんなに高いフィルターを毎回捨てるのはあまりにもったいないです。

そのため、交換頻度が少ない二次と排気用のフィルターだけ高級な素材を使用し、
使い捨てる一次フィルターは極力安くする方が良いとされています。

フィルターの種類

先程、集塵機のフィルターは3種類あり、それぞれ役割が異なると説明しましたが、

更に細かい話をすると、そのフィルターのクオリティも色々と存在しますので、そのあたりをご説明していきます。

補修効率とは

フィルターは風を吸い込む場所にバリアを張るので、
吸引力という観点から見るとフィルターは邪魔な存在とも言えます。

そのため、集塵能力だけを考えると、細かい粉塵は集塵機を突き抜けて排出されても気にせず、
大きい粉塵だけをキャッチするような仕組みが最も良いとされています。

つまり、「どれくらいの粉塵なら突き抜けてもOKですか?」という最低限の基準を定める事にしました。
(もちろん、工場が粉塵まみれになったり、人体に影響するレベルで突き抜ける訳ではありませんのでご安心ください。)

もちろん、これは集塵機を使用する場所によって大きく異なるので、
基本的には「クリーンルームで使用するか否か」という事を基準で考える会社様が多いです。

この基準によって、どれくらいしっかりした一次フィルターを使うかを決めていきます。
このように、どれくらいの大きさの粉塵をキャッチさせるのかという考え方を、「捕集効率」といいます。

マイクロメートル(㎛)という値を使って表現します。
※1マイクロメートル=0.001㎜(直径)

例えば、捕集効率5㎛で90%のフィルターと言われると、
「5㎛(または0.005㎜)の粉塵が100個あれば、90個程度はキャッチできるけど、
10個くらいは無理だから諦めて。ごめんね(≧▽≦)」という意味です。

この値が高ければ高いほど、上質なフィルターであると思ってください。

気体中分散粒子(余談です)

あくまで余談なので、わかり辛ければ無視してください。
この捕集効率の考え方はマスクにも使われています。

私達が生活する地球上の大気体中には、目に見えない多数の微粒子は浮遊しております。
このような目に見えないくらい小さい物質の事を、パーティキュレートマターといい、PMと称されています。

捕集効率と同じ㎛の単位を使用しており、この値が2.5㎛以下の物質は、小さすぎ&軽すぎるため、
空気中に長時間浮遊し、肺などの身体の奥深くまで簡単に吸い込んでしまい非常に危険と言われています。

この2.5㎛以下の物質の事を、「PM2.5」と呼んでいます。
PM2.5って言うと、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

要は、2.5㎛の物質でもブロックしてくれるほど目が細かいマスクをPM2.5対応のマスクと位置付けされ、
花粉対策などにも非常に効果的と言われています。

1次フィルター

ここからは、一般的なフィルターの種類について見ていきます。
まず、木や鉄など、比較的にサイズが大きく、少しくらいホコリが付いていても問題ないような環境で使用する場合、
布フィルターというものを使用します。

補修効率で言うと、だいたい1㎛で85%くらいです。

これがいわゆる通常のフィルターであり、価格が最も安いものになります。

また、布生地なので、多少の衝撃に強く、数回くらいであれば洗ってもぶっちゃけ問題ありません。
もし破れたら交換するという会社様も多くいらっしゃいます。

2次フィルター&通常の排気フィルター

集塵機内のファンに粉塵入るのを防ぐために付けるフィルターのため、
1次フィルターより捕集効率が高い場合が多いです。

だいたい0.3㎛で80%~90%くらいだと考えてください。

この辺りのフィルターは、洗って使う場合、かなり気を付けて洗浄しないと再利用は難しくなります
万が一穴が開いた場合、1次フィルターで取り切れなかった粉塵がファンに直撃して故障の原因となりますので、
気を付けてください。
(メーカーとしては、もちろんお勧めはしておりません…)

HEPAフィルター(クリーンルーム用の排気フィルター)

クリーンルームで集塵機を使用する場合、排気口からどれくらい綺麗な風が出るのかが重要になります。
粉塵まみれの汚い風が吹き漏れていたら一気に環境が悪くなってしまいますからね。
補修効率で言うと、だいたい0.3㎛で99.998%くらいです。

このHEPAフィルターは、家庭用の空気清浄機などにも使われており、
粉塵だけではなく、汚い空気も綺麗にできるくらいの効果があります。

ここまでの高性能なフィルターはどうしても値段が高いので、
極力交換しなくても良いように、最後の砦の排気フィルターに取り付けられています

ただ、それだけ綿密であるため、少しの衝撃で穴が開き補修効率が下がるため、洗って使う事は難しいです。

さいごに

以上が「フィルターのぶっちゃけ話」でした。

最終的な結論としては、

フィルターには色々な種類があり、目的も異なります

  • 1次フィルターは粉塵を直接キャッチするもので、正直洗って再利用できる。
  • 2次フィルターは1次フィルターで取り切れなかった粉塵がファンに入るのを防ぐもので、極力再利用しない方が良い。
  • クリーンルーム用の排気フィルター(HEPA)は、室内の環境を清潔に維持するためのもので、再利用すると大気中の細かい粉塵量が増えるため絶対に再利用はお勧めできない。

という事になります。

もちろん、フィルターは毎回交換するのがベストではありますが、
そのような綺麗ごとを並べるだけでは、ユーザー様の気持ちに寄り添う事は難しいと思いますので、
少し踏み込んだお話となりましたが、あえて記事にさせて頂きました。

設備環境の改善というのは元々、自社で何とかするのが当たり前という風潮が古くからあり、
お金をかけて環境改善のご提案をする会社はあまり存在しておりませんでした。

そのため、環境改善機器の業界は発展途上の期間が長く続き、
結果的に企業は未だに品質向上に対する大きな課題を抱えております。

それでも不良品を減らす為に、作業者の方が時間をかけて一つ一つ丁寧に掃除しているのが現状です。

昔はそれで良かったのかもしれませんが、労働人口の減少に伴い、
清掃に時間を費やせる労働者が減ってしまっている現代では、
人に頼らずに効率的に異物対策をしていく必要があります。

そんな全ての製造業者様の進歩の為に、
私達、株式会社ディーオは異物混入問題解決のリーディングカンパニーとなるべく様々な情報を発信させて頂いております。
異物・ホコリ・粉塵対策でお困りの方は、まずは弊社のような専門メーカーにお問合せ頂く事を強く推奨致します。

株式会社ディーオは、設備環境改善に関するカウンセリングを無料で行っております。

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ありがとうございました~。

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