はじめに ~集塵機の選定ミスが起こってしまう原因を解説する前に
こんにちは!
ホコリ・異物混入対策の専門メーカーの株式会社ディーオです。
私たちは、集塵機や、その先端に取り付ける集塵フードなどをオーダーメイドで製造しています。
集塵機とは、粉塵対策に欠かせない機器で、存在自体は幅広く知られているものの、それがどのような原理で動いており、どのように機種を選定するなどの具体的な事はあまり知られていないのが現状です。
生産工場の異物対策の活動を日々行う中で、どの集塵機を選べばよいのか等の相談を受けることが多々あります。
集塵機はあくまで風を吸い込む機械なので、そこまで厳密な選定が必要な訳ではないと思われがちですが、工場の運営において重要な役割を果たしますので、知っているに越したことはありません。
風量の適切性が、その効果や機能、さらには経済性にまで大きく影響しますし、工場の種類や使用状況、集塵する物質、工場の規模などによって選ぶべき機種が大きく変わる可能性があります。
例えば、金属加工工場で発生する微細な金属粉塵は、高い吸引力を必要とするのに対し、木材加工工場では大量に発生する木くずや塵を効果的に集塵するために、大風量の集塵機の選定が必要となります。さらに、食品工場では、衛生面を重視し、微生物の混入を防ぐため、更に特別な要求が生じることがあります。
このように、ざっくり話すだけでも色々と知っておきたい事があります。
本記事では、集塵機の選定ミスが起こった場合に考えられる原因や、その対策方法、そもそもの防止策について説明していきます。適切な知識と理解を深めることで、工場全体の生産性や作業環境の向上に寄与できますので、是非最後まで読んでください。
※集塵機の種類や風量の計算方法などについては、こちらの記事も併せてご参照ください。
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大きすぎる集塵機を選定しまった時
原因
集塵機を選定する際に、予測よりも大きなサイズの機械を選択してしまうケースがあります。その主な原因としては、過剰な安全マージンの確保と、未来の拡張を見越した選定が挙げられます。
まず安全マージンについては、後になって風量が全然足りない!となってしまうと取返しが付かないので、集塵機メーカー側のリスクヘッジとして「確実に大丈夫であろう選定」を好む傾向があります。
例えば、モーター容量で考えた時に、1.5kwのブロワを選定すると、計算上はギリギリ大丈夫という場合でも、念のためワンランク上の2.2kwのブロワを選定しておこう。という感じです。
そして、将来的に設備を増設する可能性がある場合、毎回集塵機まで買い足すのではなく、既にある集塵機からダクトを延長して使えるよう、予め大きい集塵機を買うといった事例もあります。
ここだけ見ると何ら問題ないような気もしますが、1つ大きなデメリットがあります。
「大半の集塵機は風量の調整が出来ない」という事です。
異物除去の観点から見ると、風量が強すぎてワークが吸い上がってしまうトラブルや、騒音の問題などを誘発するので、単に大きければ大きいだけ良いという訳ではありません。
解決策
既に大きすぎる集塵機を購入している場合は、以下の方法にて対応が可能です。
1.インバーターを搭載させる
これは改造となりますので、設備メーカーなどに依頼すると、後付けの操作盤を設置してもらうことが出来ます。
低速運転を続けると集塵機の故障に繋がるため、あまり周波数を落とすことは出来ませんが、ある程度の制御が可能となりますので、有効な解決策と言えます。
ただ、メーカーの保証対象外となるリスクがありますので、承知の上で進めて頂く必要があります。
2.分岐ボックスを設置する
先程、将来的な設備増設を見越した場合には大きめの集塵機を選定する事があると説明しましたが、現段階で風量が大きすぎるのであれば、分岐ボックスを製作して、対象ポイント以外からも多少の空気の通り道を作ってあげることで、局所的な風量過多を避けることが出来ます。
3.ダンパーをホース間に挟み込む
集塵機からその先端の装置側のどこかで、こんな感じのダンパーを挟んで対応するという方法もあります。
これはおそらく最も簡単な方法ではありますが、機内ブロワの回転数は変わっていないので、風の流れを極端に絞ると集塵機に大きな負担がかかるという事を予めご理解下さい。
小さすぎる集塵機を選定しまった時
原因
先程とは反対に、集塵機の風量が全然足りないという失敗事例もございます。
これは、主に3つうちどれかに当てはまることが多いです。
1.コスト重視で選んだ
工業用の集塵機は、商社を介して購入する事が多いのですが、最近は通販サイトからでも買う事が出来るようになりました。
商社を介する場合は、使用環境などのヒアリングを優先するため、そこまで大きなミスマッチが起こりにくいのに対し、通販サイトの場合は、スペックの理解よりも先に価格を把握できるので、とにかく安く感じがちです。
安い集塵機であれば10万円くらいで変えるものも多いですが、それらはスペックが全く異なって、自社の設備では全く使えない。なんてことがよくあります。
2.設置するスペースの制約
本当は適切な容量を理解してはいるけれど、設置場所のスペースの都合で、小さい集塵機を選ばざるを得ないこともあります。
例えば、集塵機は音が大きいので、屋外や中二階、その他作業者の邪魔にならない場所に設置をする方が望ましいので、設置場所が狭い場合や、ノズルの場所から遠すぎてホースに圧損が発生しすぎているという事もあります。
3.先端のフード設計が間違っている
これは、部屋の中に置いている空気清浄機で例えてみます。
六畳一間の部屋に空気清浄機を設置した場合、かなりパワフルに運転しているように感じますし、実際に空気がとても綺麗になっているのを実感できると思います。
しかし、同じ空気清浄機をもし学校の体育館に置いた場合、部屋が広すぎて全然効果が実感できないですよね。これと同じように、空間や開口面積に応じて集塵機の風量選定を行いますので、集塵機だけを先に買った場合に選定ミスが起こりやすくなります。
対策
ここに関しては、少し冷たい言い方になってしまうかもしれませんが、一番はやはり買い換える事だと思います。
しかし、買ったばかりの集塵機を買い換えるという事は、自身の選定ミスを認める事となり、社内で何かしらの処罰を受ける可能性もありますので、できれば避けたいですよね。
万が一後になって風量を強くしたい場合は、以下の方法が参考となります。
1.買い換えるのではなく、買い足す
大きな集塵機を買っても、その本体からフードまでダクトを直管で持ってくるケースはあまり多くなく、間に分岐ボックスを付け加えることが多いです。
そのため、その分岐の一部分を、買い足した集塵機で風量補填を行うようなイメージです。
こうする事で、先端ノズル側の風量を増やすことが出来ます。
2.集塵スペースを小さくする
先程の空気清浄機の理論で言うと、シンプルに部屋を小さくすれば、その付近だけでも局所的に強い集塵空間を作ることが出来ます。
フードの面積を一回り、二回り小さく作り直したりすることで、解決できる場合があります。
集塵機は、ブロワの大きさで風量がある程度決まってしまうので、後から変更することが難しいですが、その先端の機構であれば、いくらでも手を加えることが出来ます。
予防策
大きい集塵機を買った場合であれば、風量を落とせさえすれば解決するので大きな問題にはなりませんが、想定よりも小さい集塵機を買ってしまった場合は、最悪の場合、買い換えないといけなくなります。
そのようなミスを防ぐために、以下のポイントを意識してみて下さい。
1.集塵スペース側の形状などを先に決める
言ってしまえば、集塵機は単に風を吸い込む機械なので、真っ先に決めないといけないような機械ではありません。
それよりも、
- 何を集塵したいのか
- どれくらいの大きさの粉塵なのか
- それはどれくらいの静電気が発生しており、除電の必要があるのか
このような情報を明確にしないと、集塵スペースにどのような部品を付けて、それがどれくらいの寸法になるのか等をクリアにしないと正確な集塵機の選定は難しいと思います。
言い換えれば、ここを飛ばして集塵機を選定するのであれば、大半はオーバースペックになるように選定しているとお考え下さい。
2.風量制御が出来る集塵機を選定する
後からインバーターを取り付ける場合、確実に追加料金となりますし、今のご時世、そもそもインバーターが手に入らないという事もあります。
弊社のような、一般的な集塵機にカスタムを加えられるメーカーであれば、最初の段階で風量制御が出来るようにしておいてくれます。
3.商社の営業マンを頼る
弊社の製品は商社様を経由して販売するので、商社様と一緒にお仕事をすることが多いのですが、彼らは親身になって相談に乗ってくれますし、本当に提案力があると思います。
そのため、短期的に見れば確かにネット販売の方が安いかもしれませんが、メンテナンスや増設、そもそもミスマッチを防ぐなど、様々な観点から見ても、集塵機は商社様から購入される方が良いと思います。
さいごに
以上が「集塵機の選定ミスが起こってしまう原因」でした。
いかがでしょうか。
集塵機なんてどれを使ってもあまり違いが無さそうに見えますが、細かい選定方法があり、実は奥が深い製品という事を知って頂けると嬉しいです。
株式会社ディーオは、集塵機のカスタマイズはもちろん、その先の集塵装置までもオーダーメイドで製造販売している、日本でもかなり珍しい会社です。
初回のWebカウンセリングだけでも何かしらのお役に立てる情報をご提供できると思いますので、生産工場で発生する粉塵でお悩みの方は是非お問い合わせください。
異物・ホコリ・粉塵対策でお困りの方は、まずは弊社のような専門メーカーにお問合せ頂く事を強く推奨致します。
株式会社ディーオは、設備環境改善に関するカウンセリングを無料で行っております。
ありがとうございました~。
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