はじめに ~送風機(ブロワ)を解説する前に~
こんにちは!
ホコリ・異物混入対策の専門メーカーの株式会社ディーオです。
私たちは、集塵機の先端に取り付ける集塵ノズルなどをオーダーメイドで製造しています。
集塵機は粉塵を吸引する機械で、集塵ノズルは粉塵を綺麗に吸引するための装置
という風な位置づけがなされていますが、
これらについて、皆様はどれくらいの知識をお持ちでしょうか。
やんわりした基礎知識であれば多くの方にご認識頂いているかと思いますが、
「集塵理論はバッチリ!ホコリ・粉塵対策は私に任せてください!」という方は、
まだまだ少ないのではないでしょうか。
そのため、効果的なホコリ対策を知らないまま製品を製造している会社様が、
未だに多くいらっしゃるのではないかと当社は考えております。
そのような製造業者様のために、ホコリ・粉塵対策の基本知識から応用まで、
本当に役に立つ参考文献をご提供するためにこのブログを配信しています。
製造業者様にお勤めの方には是非最後まで読んで頂きたいです。
今回のテーマは、送風機(ブロワ)についてお話していきたいと思います。
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送風機とは?
一言で言うと、風を送り出す機械の事で、単純に風を必要とするような場面で使用されます。
(ブロワとも呼ばれています。)
でも、風を必要とするとは、いったいどのような場面の事でしょうか??
代表的なところで言うと、蒸し暑い季節に欠かせない扇風機がパッと思いつくのではないでしょうか。
ご家庭はもちろん、お店やゴルフの打ちっ放し場などで使われており、
非常にポピュラーな製品です。
その他には、ドライヤーや、トイレのエアシャワーなどがあります。
プロペラが回転する事によって強い風を一方向に送り出すというシンプルな構造で、
このように風が排出される事を「送風」と呼びます。
以上が送風機の説明になります!
・・・
と言えれば良いのですが...
実は、送風とは全く違う「吸引」という用途でも使用されることが多々あり、
むしろこちらの方が圧倒的に複雑で奥が深いのです。
風を送り出すのに吸引ってどういう事!?
換気扇や扇風機をイメージして考えてしまうと、
「送風機で吸引させる」という言葉のイメージが掴みづらいと思いますので、
根本的な事から見ていきます。
まず、風を放出するという事は、その分だけの空気を集めてくる必要があります。
換気扇の場合だと、室内にある空気をかき集め、プロペラの力を使って風を放出しています。
放出した分と同じだけの風をかき集めているのであれば、
かなりの空気が必要となるため、後ろ側で吸い込む空気も相当な量となります。
その空気量が急激に増えた時に、自然と吸引の力が発生する仕組みです。
では、換気扇や扇風機にそのような吸引現象が発生しないのはなぜ?
と思う方もいるかもしれませんが、もしも換気扇や扇風機の後ろ側にもの凄い吸引圧力があったら、
部屋の中のあらゆる物が吸い込まれてしまい危険ですので、もちろんそうならないように設計されています。
しかし裏を返せば、やり方次第ではとてつもない吸引圧力を発生させる事が出来るのです。
この辺りの疑問は、ズバリ「送風機の仕組みと種類」を知ることでご納得頂けると思います。
送風機の種類
送風機の基本的な機能は送風か吸引ですが、どちらに重きを置いているかによって、
中に内蔵されている羽(ファン)の形状が異なります。
送風機の主な種類をご紹介します。
送風機の種類①軸流送風機
読んで字のごとく、羽の中心に軸が存在し、その軸を中心に回転させるタイプの送風機で、
裏側にある空気を適当に集め、中央から送風機内に侵入し、真っすぐの向きに排出されます。
風が排出される場所はピンポイントなので強風に感じますが、後ろ側は多方向から空気を吸い込み、
吸引圧力が分散されているので、「強い風は発生するが吸引圧力は小さい」という現象が起こります。
これがまさに扇風機の原理で、昔の家の換気扇なども同じです。
代表的な例で、プロペラファンという羽があります。
プロペラファン概要
中心軸の周りに4~6枚の大きな羽が付いているファンの事で、ダクト(配管)などを使わずに
空気を直接屋外に排気する事が出来ます。
屋外に面した壁にしか取り付けられないため、戸建住宅によく取り入れられています。
パワフルな風量でコストパフォーマンスが良いものの、回転音は大きく、
静かな環境には不向き。という特徴があります。
ただ、プロペラファンは吸引圧力が非常に弱いため、煙などの、
空気よりも軽いような気体を外に出す「換気」や、集めてきた風で涼む「扇風機」などの用途で使用されています。
送風機の種類②遠心送風機
こちらも文字通りですが、先程の軸流とは違い、羽の外側の重量を重くして、
遠心力の原理を使って沢山回転させるタイプの事を遠心送風機と言います。
先程のプロペラファンとは違い、端っこに細く小さな羽が敷き詰められています。
後ろ側は、プロペラファン同様、多方向から空気を吸い込み、吸い込んだ空気を遠心力によって、
正面ではなく多方向に分散させて排出しています。
このような仕組みにすることによって、プロペラファンよりも音が静かで、
吸引圧力が若干強くなるというメリットがあります。
代表的な例で、シロッコファンやターボファンなどがあります。
シロッコファン概要
中心に筒状のモーターがあり、周り長方形の羽で取り囲まれているファンの事で、
レンジフードの中に設置されており、吸い込んだ空気はダクト(配管)を通じて屋外へと排出されます。
ダクトを設置しないと排気ができないマンションなど、
比較的新しい家の換気扇の用途で使われます。
回転音が静かで、吸引圧力はプロペラファンよりも若干強いという特徴があり、
例えるなら昔のプロペラ換気扇の進化版のようなイメージになります。
ターボファン概要
シロッコファンと同じような筒状の形をしたファンですが、シロッコファンに比べて羽が広く、
枚数が少ないという特徴があります。
また、シロッコファンの羽は入口から出口までまっすぐついていることが多いのですが、
ターボファンの羽は少し斜めについています。
この形にする事によって、回転音はうるさいが、吸引圧力を強くすることが出来ます。
そのため、「換気」だけでなく、「吸引」という用途でも使用されています。
最も奥が深いのはターボファン!?
3種類の代表的なファンをご紹介させて頂きましたが、目的や状況応じて使用すべきファンが異なります。
ざっくり言うとすれば、
- 風が必要であればプロペラファン
- 換気が必要であればシロッコファン
- 換気だけではなく、ついでにゴミくずも一緒に吸って欲しいのであればターボファン
というような感じですかね。
プロペラファンとシロッコファンについては、なんとなく理解が出来ると思いますが、
ターボファンで吸引が出来るという意味がまだ分からないという方も多いかもしれません。
ここからは、少し難しく奥が深いターボファンの原理について掘り下げていきます。
送風機で肝心なのは、羽の周り
まず、ターボファンの外形を見てみます。
羽がむき出しになっておらず、風を吸い込む場所、吐き出す場所が固定されているので、
効率よく空気の出し入れを行う事が出来ます。
風を吸い込む場所に注目してください。
換気扇とは違い筒状になっていることから、空気をかき集められる範囲が狭くなっていますよね?
こうする事で、ターボファンでは「風の渋滞」が発生します。
風の渋滞とは、例えるなら、高速の出口で車が渋滞する現象と同じです。
沢山の車が早いスピードで走っているのに出口が2~3レーンしかないため、車が渋滞してしまいます。
最近はETCのおかげでかなり改善されましたが、沢山の車がスピードを全く落とさずに
出口を通過できるのであれば、渋滞は更に解消されるでしょう。
これと同じ現象が、空気の通り道でも起こります。
送風機の風を吸い込むスペースが小さくなると、
同時に沢山の風を吸い込む事が出来なくなってしまう事を「風の渋滞」と呼びます。
もし渋滞に巻き込まれたら、早くしてくれー!と若干イライラする人もいますよね?
空気も同じように、早く送風機内に入りたいので、みんなが慌てて中に入ろうとします。
そうなった時に初めて「吸引圧力」が発生します。
吸引圧力は回転数で変わる
先程から、ブロワの羽が回転すれば送風や吸引が出来るとお話していますが、
どれくらいのスピードで回転させるかによって、風量と吸引力が大きく変わります。
これをきちんとした数値で可視化するために、1分間に何回転するかという事を、rpmという値で表します。
扇風機や換気扇などは、この回転数によって強弱を調節するようになっています。
一般的に、
扇風機は、500~1500rpm
換気扇は、2500rpm
送風機は、3600rpm
これくらいの回転数で回しています。
この数字を見て、何か気づく事はありますか。
ただ単風に風を送るだけであれば、せいぜい1000rpmくらいあれば十分ですが、
臭いや煙を屋外に換気する場合は、それなりの回転数が必要になるという事です。
つまり、送風機から吸い込まれる空気の圧力を上げたいのであれば、かなり高い回転数が必要になるという事です。
高い吸引力を必要とする掃除機であれば、3万rpmくらい必要になってきます。
集塵機にはターボファンが使われている
集塵機は、排出側の送風量よりも吸い込み口の吸引圧力が必要になるため、
一般的には回転数が高いターボファンが望ましいと言われています。
風量型集塵機であれば、ターボファンで3600rpm、
高圧型集塵機であれば、ターボファンを3万rpmくらいで回転させています。
そうして吸い込み口に急激な風の渋滞を起こし、粉塵を吸引するという原理です。
ただ、サイズの大きいターボファンでそれだけの回転数を出す場合、
耐久性に優れた設計にせざるを得ないため、価格がどうしても高くなってしまいます。
だから風量型集塵機は比較的安価なのに対し、高圧型集塵機は高価になってしまうのです。
掃除機と集塵機の違いや、高圧型集塵機と風量型集塵機の違いについては、
以下の記事で説明しておりますので気になる方はぜひ読んでください。
送風機(ブロワ)の種類と特徴まとめ
以上が「ブロワの種類と特徴について」でした。
私たちのような集塵機メーカーからすると当然、集塵機は吸引力が命なので、
言い換えると集塵機はブロワ選定が命とも言えます。
そのため、ブロワについて正しく知っておかないと、集塵機の選定ミスを誘発しやすくなってしまいます。
しかし、集塵についてわかりやすい参考文献がかなり少ないので、
難しい参考書で勉強するか、経験で学んでいくしか方法ないのも事実です。
そんな全ての製造業者様の進歩の為に、私達、株式会社ディーオは、
どなたが読んでもだいたい理解できるような、日本一わかりやすい参考文献の提供を目標としております。
もし集塵機の選定が難しければ、異物・ホコリ・粉塵対策の専門メーカーである私たち、
株式会社ディーオにお気軽にお問い合わせください。お問い合せ下さい。
株式会社ディーオは、設備環境改善に関するカウンセリングを無料で行っております。
ありがとうございました~。
業界初!フィルターが詰まると、スマホPCに通知
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