
ベストな集塵機を買う方法を解説する前に
こんにちは!ホコリ対策の専門メーカーの株式会社ディーオです。私たちは、集塵機の先端に取り付けるフードなどをオーダーメイドで製造しています。
突然ですが、日々の活動の中で、お客様からこのようなご質問をよく頂戴します。
どの集塵機を買えばよいですか?
もちろん、詳しく知らなくても問題ありませんが、なにか選定ミス等が起こった時や、実際に異物を除去できるかという所までは、集塵機メーカーは責任を持ってくれません。だからこそ、ある程度の知識を得て、自分達で選定をするという事が必要になります。
しかし、集塵、除塵に関する参考文献は非常に少なく、独学で習得する事はなかなか難しいのが現状です。
このブログの「基礎から集塵シリーズ」では、集塵機業界で最もわかりやすい参考文献をご提供する為に、基礎的な事から応用まで、盛りだくさんの内容を配信させて頂いております。
- 生産のお仕事に就いて間もない
- これからホコリ対策をしていこう
- 既にホコリ対策をしているが、それでも困っている
上記に該当する方にとってはご満足頂ける内容間違いナシですので、是非ご愛読ください。
今回のテーマは、「ベストな集塵機を買う方法~性能曲線表の理解~」になります。まず、大前提として、先端のフードの形が決まってから集塵機を選ぶという鉄則があり、フードの設計方法を知っている必要があります。そちらについては、先日既に配信しておりますので、先に読んでからこの記事をご覧頂くと、より深くご理解頂けると思います。
基礎から集塵シリーズ 第二弾 ~集塵フードの設計方法~ | 株式会社ディーオ (dio-pulshot.com)
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ベストな集塵機を買う方法<性能曲線表を理解する>
性能曲線表とは、このような表です。

縦の軸が静圧、横の軸が風量、それぞれの能力が表示されています。なんかややこしそうですよね…
まず、そもそもなぜこのような表が存在するかというと、「この集塵機は常に〇〇㎥の風量が出るので、この場合はこれを使って下さい!」などと一言で言えれば良いのですが、そのような集塵機はこの世にないからです。集塵機は、どのような状況で使用するかによって、実際に発揮される能力は大きく変わるため、ECサイトの口コミなどを参考にしても全く当てにならないのです。
例えば、500円玉もラクラク吸い込みますよ!という掃除機を購入した方が、1m先に置いてある500円玉が全然吸えないじゃないか!!と文句を言っていたとします。
何を言っているんだ?そんな遠くにある物なんか吸える訳ないじゃないか!と思う方も多いのではないでしょうか(笑) それもそのはずです。掃除機は、ホコリが近くにないと吸引なんて出来るはずがない。という、曖昧な常識がありますからね。
それと同じで、集塵機にも「空中に浮遊した粉塵が近くにあれば吸引できますよ」という曖昧な常識が存在します。よく考えれば、近くってどれくらいなの?って話です。
お客様の使い方次第で実際の性能が大きく変わるので、この集塵機は何㎥の風量が絶対出るから安心してください!とは断言できないのです。しかし、そんな事ばかり言っていたら、集塵機メーカーはいつまで経っても集塵機を売る事ができないので、だいたいのお話を聞いただけで提案を始めてしまいます。
そして、後のクレーム対策として、お客様向けに「静圧がこれくらいなら、風量はこのくらい出ますよ」という目安を見せるために作られてのが、この性能曲線表になります。
ベストな集塵機を買うために必要な用語解説
静圧:物を吸い上げる力
㎪(キロパスカル)と表記し、記載されている数字(㎏)の物を吸い上げる事が可能。
例)最大静圧:10㎪⇒10㎏の物を持ち上げる事が出来る。
得意分野:近くのある物をピンポイントで吸い上げる事
苦手分野:多方向に飛散している物を吸い込む事
風量:風を吸い込む量
㎥(りゅうべ)と表記し、記載されている数字の体積(風)1分間に吸い込む事が可能。
例)最大風量10㎥
5(m)×5(m)×3(m)=75(㎥)の部屋を換気する時⇒75(㎥)÷10(㎥)=約7分30秒間で部屋全体の空気が吸い込まれる。(換気される)

得意分野:多方向から風を吸い込む事
苦手分野:重たい物などピンポイントで吸い上げる事
ベストな集塵機を買うために必要な考え方
静圧がMAXで発生している時、風量は全く発生しない
⇒掃除機の先端を頬に引っ付けた状態。吸い口が完全に密閉されて、風を全く吸い込む事が出来ないため。
風量がMAXで発生している時、静圧はほとんど発生しない
⇒静圧という邪魔が入らなければ、風だけを吸い込む事が出来るため。
ここでもう一つ大きなポイントがございます。
集塵機の種類は絶対に間違えてはいけません!!
集塵機は、大きく分けて、高圧型集塵機と風量型集塵機の2種類があります。この選定を間違えると、どんなに良いノズルを使用してもホコリ問題が解決しません。
●高圧型集塵機
特徴:静圧が大きい、風量が小さい。
得意分野:近くにある物や、付着異物を吸引する事。
苦手分野:多方向から風を吸い込む事や、空中に飛散している粉塵を吸引する事。
●風量型集塵機
特徴:風量が大きく、静圧が小さい。
得意分野:多方向から風を吸い込む事や、空中に飛散している粉塵を吸引する事。
苦手分野:近くにある物や、付着異物を吸引する事。
つまり、
- 製品に付着した異物を吸引したいときは高圧型集塵機
- 空中に飛散した粉塵を吸引したいときは風量型集塵機
という風に認識して頂ければ結構です。
これらの情報を踏まえて、先程の性能曲線表を確認すると、最大静圧が16㎪という事は、かなり強い圧力が発生しているので、高圧型集塵機である事がわかります。風量型集塵機の性能曲線表は、静圧が低く、風量が多いので、横線のような表になります。
どちらも良い一面と悪い一面があるので、一概にコレが絶対!とは言えませんが、付着異物の対策をする際は、基本的には高圧型集塵機が望ましいでしょう。なので今回お話しているのは、高圧型集塵機です。
それでは性能曲線表をもう一度見てみましょう。

最大静圧:約16㎪
最大風量:約5.0㎥
なんとなく見えてきましたね!この集塵機は、16㎏の物まで吸い上げる事が可能で、先程の、5(m)×5(m)×3(m)=75(㎥)の部屋を換気する時は、約15分間で部屋全体の空気が換気される事になります。
ここまでが基本的な考え方です。
では、実際に発生する静圧と風量はどれくらいで考えれば良いのでしょうか。この数字の事を使用点と言います。
一般的には、この計算は「発生する圧力損失の想定」から考えていきます。
最大静圧と最大風量は、あくまで何も繋がずに集塵機単体で稼働させた場合に発生します。ホースやフードを繋いだ時点で圧力損失が発生し、最大静圧と最大風量は出なくなります。
- ダクトの直径がΦ□□mm
- ホースの長さが〇〇mでL字に何回曲がる
- フードの大きさが〇〇mm×△△mm
などの具体的な数字が決まらないと、どれくらいの圧力損失が発生するかを正確に想定する事は出来ないのです。
読者の皆様にご質問です。
- 皆様の工場に設置している集塵機は、ホースやフードを繋いで使用していますか?
- ホースの長さ、直径、ノズルのサイズなどが全て決まってから集塵機を購入しましたか?
- 集塵機メーカーは、使用状況を確認して、このようなアドバイスをしてくれましたか?
もし、ただ設備を見ただけで集塵機を提案されたのであれば、大変残念ですが、
それはなんとなく選定した集塵機を買わされた可能性が高いです。
もし、ホースの長さ、直径、フードの大きさを全て決めてから、「この場合に発生する圧力損失を踏まえた上で、どの集塵機を買えばよいですか?」と問い合わせをしていれば、このような選定ミスを防ぐ事ができます。
プロなんだからそこまで考えてくれよ!と言いたいところですが、残念ながらここまで親身になって提案する集塵機メーカーは少ないのが現状です。
また、メーカーが開示する使用点は、だいたいの数字で、必ずしも正確とは限りません。だからこそ、ある程度の知識を自分達で得る必要があります。
ベストな集塵機を買う方法まとめ
以上が「ベストな集塵機を買う方法~性能曲線表の理解~」でした。異物・ホコリ対策は、少しの知識、工夫で劇的に改善する事がよくあります。皆様が今使用している集塵機は本当に適切な機種でしょうか。
気になる方は、是非購入したメーカー様に性能曲線表を開示してもらって確認して頂くと良いと思います。間違った集塵機を使用されている事も珍しくありません。
このブログの「基礎から集塵シリーズ」では、たった2割程度の基礎知識だけで、全体の8割を理解する事が出来るよう構成した記事を配信しております。
しかし、どうしても解決できない異物問題が沢山あるのも事実です。そのような製造業者様のお役に立つために、株式会社ディーオはオーダーメイドの集塵装置の開発に日々勤しんでおります。
粉塵対策で集塵機の購入をお考えの方は、集塵機メーカーではなく、まずは弊社のようなノズルメーカーにお問合せ頂く事を強く推奨致します。
株式会社ディーオは、お客様のワークの除塵テストを無料で行っております。
付着異物、ホコリ対策でお悩みの方は、私たちまでお気軽にお問い合わせください。
ありがとうございました~。
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