はじめに ~意外と知られていないネイル集塵機のカラクリを説明する前に~
こんにちは!
ホコリ・異物混入対策の専門メーカーの株式会社ディーオです。
私たちは、工場で発生したホコリなどの異物を吸引除去してくれる、「集塵機」という機械を作っているメーカーです。
基本的に、集塵機は工場向けの機械であるため、私たちがいつも配信している内容は少しマニアックで、
あまり馴染みのない言葉がどうしても多くなってしまいます。
しかし!!
今回お話するテーマは、「ネイル用の集塵機のカラクリ」についてです♪
つまり、こちらの記事は美容業界に携わる方々に読んで頂く前提で、集塵機という産業機械について語っていきたいと思います。
今回のお約束としまして、堅苦しい専門用語はナシですので、どうぞご安心して熟読頂けますと幸いです。
実は、筆者(私)は5年ほど美容メーカーに勤めていた経験があり、
つい最近まで、ネイルサロンや美容室と密に関わっておりました。
そのため、機械系の仕事をしている割には、サロン様の現状もそれなりに理解しているのかと思っています。
まず一言。。。
業界初!フィルターが詰まると、スマホPCに通知
IoT小型集塵機emsiot
美容室とネイルサロン、めちゃくちゃ多いですよね。
コンビニが5万軒あるのに対し、美容室はなんと25万軒も存在するので、どの地域でも美容室は激戦区です。
生き残りをかけて他店との差別化を図るために、ヘッドスパやネイルなど、様々な付加価値をつけています。
そして近年は、大型サロンを独立し、地元で少人数且つアットホームな美容室や
ネイルサロンをオープンする方が増えており、今後も軒数自体は更に増えていくのではないかと推測されています。
美容室の市場が飽和しているのに対し、ネイルサロンの市場はまだ4万軒ほどしか存在しておらず、
今後は市場規模の拡大に伴い、競合店の増加など大きな飛躍が期待されます。
もしネイルサロンをオープンするとなれば、爪を削った後の粉を掃除する「集塵機」という機械が絶対に必要になります。
この機械がないと、床はすぐに汚くなり、臭いも室内に充満してしまい、お客様に不快な思いをさせてしまいます。
しかし、もともと集塵機は、工場などで発生した異物を除去するための機械であるため、
詳しい情報はまだまだ世に出回っておりません。
ユーザー様の理解度とは裏腹に、ネイル用の集塵機は種類が非常に豊富なため、
どれを選べばよいかわからないという方も多いと思います。
そのような方々に向けて、この記事では、ネイル用集塵機の基礎知識と、
集塵機のセールスポイントに関するカラクリについて、色々とお話しさせて頂きます。
ぜひ最後まで読んでください。
静かでパワフルというセールスポイントは全部ウソ!?
私が美容業界で働いていた頃は、1日に10~15軒ほど美容室やネイルサロンを訪問しておりました。
そこで、人気のあるネイルサロンが意識している共通点に気づきました。
一言でいうと、お客様に「また行きたい」と思ってもらえるお店づくりを意識されている。
という印象でした。(お店の立地、技術面、スタッフ様の教育はさておきです。)
細かく言えば、
- 全体的に背の低い家具を使用して、広い空間を演出している。
- 圧迫感や閉塞感を与えないように、お客様が座るスペースに過度な仕切りを設けない。
- スタッフとお客様が会話を楽しみやすい環境が出来上がっている。
これらが共通していると私は感じました。
おそらくですが、よほどの大型店や土地の有り余った田舎でない限り、お店のスペースには限りがあるため、
広く見える空間演出や、スタッフ様との楽しい会話が重要になるからではないでしょうか。
居心地がよくて、スタッフと気が合うサロンが固定客をがっちり掴むなんて当然ですよね。
しかし、集塵機の選定を間違えると、素敵な居心地と楽しい会話を簡単にぶち壊してしまう事になってしまいます。
このような事態を未然に防ぐために、まずは集塵機の基本構造を知る必要があります。
ネイル集塵機の仕組み
集塵機は、内部に入っている扇風機の羽のようなものの回転により風を吸い込む現象を作って、
風を吸い込むと同時に爪の研磨粉も吸引させるという非常にシンプルな構造です。
最近は少ないですが、少し昔の家に置いている換気扇をイメージしてください。
これの小さいバージョンだと考えて頂ければ大丈夫です。
基本的には、この羽の枚数が多くてサイズが大きければ大きいほど、たくさんの風を一度に吸い込むことができます。
言い換えると、小型の集塵機になれば、羽のサイズが小さくなり枚数も少なくなるため、吸引力が衰えてしまいます。
小さい羽で吸引させる小型集塵機の代表例は、卓上用集塵機です。
こんな感じのものです。
ファンの種類
卓上用の集塵機は音が静かで、爪を削った後の粉をそれなりに吸引してくれるので非常に人気です。
では、爪に付着しした粉を掃除したい時はどうでしょう。
卓上集塵機は、重力で下に落ちた粉のみを吸ってくれるので、柔らかいブラシなどで掃いてあげないと粉はなかなか取れません。
加えて、爪を削ると、お客様の顔の付近まで粉が舞うため、舞った粉もどうにかしないと、人が吸い込んでしまう可能性がありますし、
悪臭も発生してしまいます。
扇風機型の羽は、粉を下から上に吸い上げられる力は持っていないので、この羽ではどうしようもありません。
そこで登場するのが、風を吸い込むのではなく、物を吸い上げるのに自信があるタイプの羽です。
専門用語でいうと、ターボファンと呼ばれる羽で、筒の中に羽が内蔵されているようなイメージです。
わかりやすく例えると、飛行機のエンジンの羽みたいな形です。
羽の周りが囲われているので多方向から大量の風を吸う事が出来ませんが、風の渋滞を起こして、
風速を速めた勢いで重たい物を持ち上げてくれるという特徴があります。
このタイプの羽の先端に細いホースを繋いであげることで、爪の近くギリギリまで近づけることができるため、
粉が宙に舞うのを防ぎ、綺麗に吸引させる事ができます。
かなり雑ですが、お客様の手の下には換気扇を置いて、手の上には掃除機のホースを置くと考えれば、イメージしやすいと思います。
このように、ネイル集塵機は全てが一緒という訳ではありません。
集塵機のホースとフードの関係性
近頃の集塵機は、吸引力は普通だが静かでコンパクトな機種が人気を集めております。
強い吸引力を実現するためには、ホースの太さとフードの大きさがかなり重要になります。
例えば、ホースを使っていない卓上の集塵機の場合、基本的には手の下に置いて使用するため、物を持ち上げるような力は必要ありません。
そのため、ホースは使わずに使用します。
風の集まり方のイメージは、こんな感じです。
悪い言い方をすると、どの機種を使っても大差はないので、あまり悩まなくても大丈夫だと思います。
一方、掃除機の形に似た集塵機の場合は、手よりも上の位置にホースがあるため、風を集めるというよりも、
粉を持ち上げるような力が求められます。
(かなり似ているニュアンスですが、意味は結構違います。)
では、粉を持ち上げる力を必要とする場合は、なぜホースが必要になるのでしょうか。
答えは、ホースは吸引圧力を強めてくれるからです。
これも掃除機に例えてお話します。a
ホースを使用すると、広範囲から風を吸い込むことができず、
ホース付近のピンポイントな場所にある風しか吸えなくなってしまいます。
そうなると、本当はもっと風を吸いたいのに吸わせてくれないという状態になり、
どうにかしようと、強引に風を吸おうと暴れ始めます。
多くの風を吸うことができない腹いせに、近くにある物は思いっきり吸ってやろうというような感じですかね。
この時に発生する力のことを「吸引圧力」といい、ホースを使って風の吸い込み量を減らすと、物を持ち上げる力が発生します。
では、この形はどうでしょうか。
もうお分かりの方もいらっしゃるかもしれませんが、矛盾していますよね?
ピンポイントの箇所しか吸えないような細いホースの先端と、広範囲に散乱した粉を吸えそうな雰囲気のフード。
お互いの得意分野が上手に機能しそうに見えますが、残念ながら大きな相乗効果はありません。
この形は、大きいフード面積全体を吸引してくれる訳ではなく、
あくまで粉が散乱しすぎないように最低限のバリアを張ってくれる、というくらいの認識を持って頂ければと思います。
この類の機種のレビューを見ると、低評価を押している消費者が少し目立つ印象ですが、
このカラクリを理解したうえで購入して頂ければ、ミスマッチは減ると思います。
まとめると、
- 卓上集塵機のように手の下に置いて使う機種は、特に大差がないので安い機種で十分。
- ホースは細ければ細いほど爪の研磨粉を吸いあげる事が出来る代わりに、ピンポイントの箇所しか吸引してくれない。
- ホースが細いのに、フードが大きい機種は要注意。
という事になります。
【要注意】ネイル集塵機のよくあるセールストーク
私も美容業界に在籍していたのでよくわかるのですが、
「ただ商品を売るのはタダの物売り営業。そうではなくて、コトを売りなさい。」と、新人の時から徹底して叩き込まれました。
コトを売るとは、商品のスペックを淡々と説明するのではなく、その商品と自分に付加価値を付けて売りなさいという意味です。
ダメな営業マンほど、製品スペックを語るというような風潮があった気がします。
そのせいで、美容に関する製品のスペックは、やんわりとしたイメージでしか語られなくなっているため、
その製品が持つ本当の特徴が正しく理解されづらくなってしまいました。
例えば、シャンプーをお勧めする際、「このシャンプーは高級アルコール系の活性剤を全く使っておらず、
PPTの分子量が非常に細かくなっておりますのでお勧めです。」
というような説明をする営業マンはあまりいないと思います。
それよりも、「このシャンプーはハチミツ由来で、しっとりした質感を出すことができて、
ヘアカラーの褪色も抑えることができますよ。」という風に、
それを使うとどうなるのかというイメージを語る方が圧倒的に売れますよね?
しかし、それはあくまで消費財の話で、設備に関する商材を販売する場合は、
やはりスペックをちゃんと理解してもらうべきだと私は思います。
単刀直入に言います。
基本的に、多くの美容業界は誇張が入りやすいと環境にあると思ってください。
何を言っているんだ!と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、深堀してみると、
- パワフルって、どれくらいの吸引力があればパワフルに分類されるの?
- 静かって、どれくらいの音の事を言っているの?
- 小型って、何㎝以下なら小型なの?
などと、根本的な疑問がたくさんあります。
そこで、ネイル集塵機でよく使われるセールスポイントについて理解を深めるために、細かく説明をさせて頂きます。
パワフル
まず、換気扇の形なのか、掃除機のようなホースが付属している形かを見てください。
換気扇の形でのパワフルの定義は、「どれくらいの風を吸い込むことができるか」です。
これを風量と呼び、立方メートル(㎥/min)という単位で表します。
1分間にどれくらいの風を吸い込むことができるのか。という意味になります。
掃除機の形の場合、「どれくらいの重さの物を持ち上げる事ができるか」がパワフルの定義です。
これを静圧と呼び、キロパスカル(㎪)という単位で表します。
キロパスカルはキログラムと一緒で、「1㎪とは、1㎏の物を持ち上げる事ができるくらいの吸引力がある」という意味になります。
これ以外の単位は、残念ながら性能を調べる時に、あまり参考になりません。
例えば、
- 1分間に羽が5000回転します。(rpm)
- 1秒あたり40mの風速があります。(m/sec)
などの記載があっても、実際の性能を知ることはできません。
これらの書き方をされている集塵機に興味がある場合、
- 扇風機型であれば 風量(㎥/min)の数値
- 掃除機型であれば 吸引圧力(㎪)の数値
これをメーカーに直接問い合わせる必要があります。
静か
騒音の値は、デシベル(㏈)という単位で表します。
一般的には、70㏈程度であれば、少しうるさいがまあ問題ない程度という共通認識があります。
しかし私の経験上、美容室に集塵機を置く場合、60㏈を超えると会話がしづらくなります。
もし、57~68㏈という風に記載されていた場合、あくまで、最大限の防音対策をすると57㏈ですよ。という意味です。
また、騒音を測定する際は、1m離れたところで観測された数値を記載することになっています。
実際は、集塵機とお客様の距離はもう少し近いので、記載されている騒音値よりも少しうるさいという風にお考えになられた方が良いと思います。
小型
小さいというのは、お店のレイアウトやそれぞれの主観によって変わりますが、だいたい
- 扇風機型の場合は、大体15㎝×15㎝以下
- 掃除機型の場合は、大体20㎝×20㎝×20㎝以下
であれば小型と認識して頂いて大丈夫です。
ただ、小型の集塵機は基本的にパワーが弱いので、これ以下の大きさの集塵機を買う場合は、
口コミなどをよく確認してから買われることを推奨します。
ネイル集塵機のカラクリ最後に
以上が、「意外と知られていないネイル集塵機のカラクリでした。」
換気扇と掃除機に例えてお話をしましたが、どちらがダメという訳ではなく、どちらも良い所があります。
ここでお伝えしたいのは、
良いところと悪いところを、お互いに両方持っているという事です。
両方を兼ね備えた完璧な集塵機は残念ながら存在しません。
つまり、このようにそもそもの定義が曖昧であるため、ある意味言ったもん勝ちのようなところがあります。
(美容業界あるあるかもしれませんが。笑)
ただ私が言えることは、削った後の粉を上から吸うのか、下から吸うのかで変わります。
本記事に記載した情報をもとに、あとはお店のコンセプト、雰囲気、用途に合わせて選定してください。
私がお話した内容が、少しでもお役に立てると幸いです。
株式会社ディーオは、ネイル用集塵機のOEM販売を行っております。
ありがとうございました~。
業界初!フィルターが詰まると、スマホPCに通知
IoT小型集塵機emsiot