はじめに ~集塵機のフィルターを交換せずに使い続けた場合のケーススタディを解説する前に~
こんにちは!集塵装置メーカーの株式会社ディーオです。
私達は、お客様の製造ラインで発生する異物を取り除く装置をオーダーメイドで製造販売しているメーカーなのですが、
適切な風量が出せる集塵機もセットで販売しています。
その活動を日々行う中で、ふと思う事があります。
あれ?あそこの会社、消耗品の注文が全くないけど、もう集塵機は使っていないのかな??
当社のお客様では、数十台以上の集塵機を使って頂いてて、フィルターの注文が全くない会社様が稀にあります。
確かに、集塵機の一次フィルターはそれなりの値段で、毎回丁寧に交換するとランニングコストは高くなりますので、
ユーザー様からすると出来れば交換したくないと思います。
そこでこの記事では、集塵機のフィルター交換を全くせずに使い続けたらどうなるのかについて
解説していきたいと思います。
是非最後まで読んで頂けますと幸いです。
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フィルター交換を全くしないとどうなるのか??
集塵機で異物集塵を行うと、粉塵は一次フィルターに溜まっていきます。
これを専門的にはトラップすると言うのですが、基本の原理は掃除機と全く同じです。
交換ランプが点灯する
集塵機の場合は、掃除機と違って常に人が傍にいるとは限らないので、
フィルターが詰まった時は、交換ランプが点灯します。
当然ですが、この時の集塵機の吸引力は、新品状態と比べると落ちています。
ブロワの温度が上がる(高圧ブロワの場合特に、電流値)
先程の交換ランプが点灯しても無視した場合、どうなるでしょうか。
そもそも、フィルター交換ランプが点灯するのは、ブロワとフランジの「差圧」という原理を利用して
フィルター交換時期を見極めています。
このように、フィルターが詰まると、溜まった粉塵のせいで通気性が悪くなりますので、
吸い込みフランジ付近と、その影響を受けないブロワ付近で発生する吸引圧力の差が
一定以上開いた時に「フィルターが詰まった」と判断しています。
つまり、吸引圧力値しか見ていないなので、交換サインをガン無視しても集塵機は全然問題なく稼働してしまいます。
十分に空気の循環がされていない状態での稼働が続くと、
下記の画像のように二次フィルター裏側とブロワの空間のみがずっと吸引されている状態なので、
常に密閉状態となっています。
身近な事で言うと、掃除機のホースの先端を手で塞いだ時と同じ現象です。
配線が熱くなり故障する
ブロワという機械は、ファンが回転する事により、入口から風を吸い込み出口に吐く構想です。
その時の吸い込み量が多ければ風量は大きくなりますし、ファンの回転が速ければ吸引圧力は上がります。
ただ、吸った量と同じだけ吐くという前提があるので、密閉状態になると、入口から空気を吸えなくなってしまいます。
ブロワの回転数は速いのに、空気が吸えないとなると、一方的にブロワだけに負荷がかかり、
電線を通して温度が急激に上がってしまいます。
カンの良い方はわかるかもしれませんね。
そうです、熱源が発生してブロワが壊れます。
熱源が発生した場合、ブロワモーターが焼け焦げてしまう可能性と、
粉塵爆発の誘発リスクが上がり、想定外の事故を起こす危険性が伴います。
ブロワが故障した場合、数年分のフィルター交換代金くらいお金がかかりますので、
長期的に見たら、やはり定期的な交換を推奨したいのが本音です。
ちなみに、本件とは話が若干逸れますが、粉塵爆発については過去に記事にしていますので
一緒に読んで頂けますと幸いです。
フィルターを何回も洗って使いまわすと
では、フィルター交換はちゃんと行っているが、新品ではなく洗濯して使いまわした場合はどうでしょうか。
確かに、ランプ点灯後にちゃんと交換しているのでそんなに問題はなさそうに思えます。
伸びたり穴が開いたりする
洗濯、保管方法にもよりますが、繰り返し使う事でフィルターが外的損傷を受ける確率が上がります。
とはいえ、掃除機のような紙パックよりも頑丈に作られているので、そう簡単に穴が開く事はありませんが、
厳密に言うと、捕集効率が変わってしまいます。
一言で言うと、これくらいの大きさの粉塵であれば何%キャッチできるという基準を示す指数の事で、
負荷が加わるとこの基準が変わってしまいます。
例えばですが、一般環境で使われる集塵機とクリーンルーム用の集塵機の違いは、排気フィルターにあります。
この捕集効率が高ければ高いほど外に粉塵を漏らさない高性能となるのですが、集塵機でキャッチする異物は、
ミクロン単位のとても小さなサイズまで対応しているので、洗ったりすることで、フィルターを突き抜けたり、伸びたりしてしまう可能性が浮上します。
この説明をすると大抵、別に排気フィルターさえちゃんと交換していれば問題なくね??という風に思われるみたいですが、まず、排気フィルターはそこそこ高いです。
1次フィルターを定期的に交換していれば1年以上使えるものなので、ランニングコストを考えると得策ではない気がします。
ブロワに粉塵が入り込む
一次フィルターをすり抜けてしまった粉塵はブロワを通過します。
ブロワは、1分間に数千~数万回転しているので、硬い粉塵がここに直接入ってしまうと、
中の羽が折れてしまう可能性があります。
そうなると修理は出来ないので、ブロワごと交換することとなり余計に高くつくでしょう。
ちなみに1次フィルターは差圧で交換時期を検出していると説明しましたが、
二次フィルターと排気フィルターは検出のしようがありません。
基本は定期点検の中で交換するかをお客様自身で判断してもらう構造ですので、
破れたとしても機械側から何の信号も出せないのでご注意ください。
通気性が変わる
では、使用後のフィルターを超とても丁寧に洗濯、保管した場合はどうでしょう。
これならさすがに使いまわしても問題無さそうですよね?笑
確かに理論上は再利用できるはずです。
ですが、結論からお伝えすると、使いまわせるのはせいぜい数回だと思いますし、あまりオススメできません。
一般的な集塵機の一次フィルターはパック式が多く、簡単に取り外して交換できる仕組みになっています。
一見ただの紙パックみたいに見えますが、実は裏側に特殊なコーティングを施している場合が多いです。
弊社のDSシリーズの場合、テトロンコーティングという加工を施しておいます。
簡単に言うと、一度溜まった粉塵がパックの内側に張り付いて空気の循環を邪魔しないような細工のことです。
洗って使いまわすことでフィルター内での粉塵の剝離効果が弱まり、慢性的に空気の循環を邪魔してしまう可能性があります。
つまり、ちょっとブロワに負担がかかった状態で連続運転を行ってしまう事になるので、
結局ブロワの故障を誘発していることになります。
集塵機のフィルターを交換せずに使い続けた場合まとめ
以上が集塵機のフィルターを交換せずに使い続けるとでした。
いかがでしょうか。
結論をまとめると、フィルターは多少使いまわしても大丈夫かもしれないが、ほどほどに。
といったところです。
あまりこういうことを言うのは良くないですが、フィルターは使いまわせるに越したことはないと思いますし、
別に悪い事だとは思いません。
しかし、今回ご説明したようなリスクもあるので、どのタイミングで新品に交換するかを見極めた上でご使用頂ければ良いと思います。
そして、我々のような集塵機を製造する業者の責務として、交換頻度が少なくて済むフィルターを安価に提供することを目指していかないといけないと、改めて思いました。
異物・ホコリ・粉塵対策でお困りの方は、まずは弊社のような専門メーカーにお問合せ頂く事を強く推奨致します。
株式会社ディーオは、設備環境改善に関するカウンセリングを無料で行っております。
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ありがとうございました~。
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