はじめに ~進化しない送風機についてを解説する前に~
こんにちは!ホコリ対策の専門企業の株式会社ディーオです。
私達は、工場で発生したホコリなどの異物を吸引除去してくれる集塵装置をオーダーメイドで作っています。
集塵装置というのは、仕様や使う部品などはお客様によって十人十色なので、
一概にこれさえ覚えれば誰でも集塵装置を作る事が出来ますよ!というマニュアルは存在しません。
そのため、どんな装置でも「集塵機」という機械を使わずにホコリ対策をする事は不可能なので、
私達は最低限、集塵機についての知識だけは全員が完璧にしておく必要があります。
しかし、集塵機の原理や選定方法などをネットで調べてもなかなか良い参考文献に巡り合う事が出来ないので、
お客様が直接調べても理解しやすいような参考文献をご提供するために、このブログを定期配信しております。
普段は、集塵理論についてあまり詳しくない方々に向けた易しい内容で配信しておりますが、
今回は、「それだけでは物足りない!」という方に向けて、超上級編の内容をご説明していこうと思います!
今回のテーマは「進化しない送風機について」をご説明していきます。
ぜひ最後まで読んでください!
なお、本記事は、集塵に関する専門知識はある程度ご理解頂いている前提での説明となります。
もし難しいと感じた方は、超基礎的な内容も沢山配信しておりますので、他の記事を読んでみてください。
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ホコリ対策における送風機の役割
部品表面に付着したホコリを除塵するには、ただ吸引するだけだと効果は薄いですし、
逆にエアブローなどで叩き落とすだけでは周囲に散乱してしまい別の問題を起こしてしまうので、
剥離と吸引を同時に行う事が重要となります。
そのため、効率よく集塵をするために、集塵機内に搭載されている吸引機用送風機(ファン・ブロワ)の選定は、とても重要な要素と言えます。
送風機は、一言でいうと「空気を吸い込むと同時に吐き出す機器」であり、
どちら側で仕事をするかによって、2種類の用途に分けられます。
- 空気を吸引する用途 吸引(サクション)➡主に集塵や排煙に使用。
- 空気を送り込む用途 排気(デリバリー)➡主に炉やバーナーの空気供給に使用。
付着したほこりを集塵する用途では、付着物を吸い上げる必要があるので、吸引側で集塵します。
ただ、送風機から発生する吸引力だけでは付着したものを吸い上げづらいので、
剥離目的でブロー空気も使用する事も効果的な対策となります。
本来ブローする空気を、送風機の排気空気で代用できれば、省エネ・効率化が図れますが、送風機の吐出空気量は、
多く出す事は出来ても圧力が弱い為、小口径で穴を絞り少量の高圧(高速)の空気を出すことには不向きと言えます。
反対に、ブロー空気は、集塵空気量より少ない量でないと、付着物を捲き散らかす事となる為、
強すぎてもあまり良い事はありません。
そのため、弊社では、コンプレッサーエアーから繋いだパルショットノズルを使用したブロー剥離を採用して、
プッシュ&プルに特化しています。
パルショットブローは直接ワークに触れる事がないので、
凹凸形状にも剥離効果を発揮し、ほこり集塵に有効なので、効率よく環境改善が出来ます。
圧縮機のポンプと送風機(ファン・ブロワ)の違い
ポンプや送風機(ファン・ブロワ)など、水や空気を扱う機械を「流体機械」圧縮機といいます。
流体機械は大小含め、
- 上下水道設備
- 灌漑
- 河川排水
- ビルの空調設備
- 各種工業プラント
- 発電プラント
などに幅広く使用されています。
送風機(ファン・ブロワ)は、機械工学便覧の空気機械編に於いて、
羽根車の回転運動によって気体にエネルギーを与える機械で、
その昇圧(送風機の入口と出口の圧力比)が1対1未満のものを送風機分類としてファンといいます。
吸込み大気圧の場合、最大圧力111Kpa未満
ブロワとは、圧力比1対1以上2.0未満のもの(吸込み大気圧の場合、最大圧202㎪未満)をブロワと定義されており、
200㎪(0.2㎫)以下の低圧エアーを作りだす装置を、総称して送風機(ファン・ブロワ)といいます。
※参考:コンプレッサーは圧力比が2.0以上の圧縮機のこと。
ポンプは、羽根車もしくはロータの回転運動またはピストンの往復運動によって気体を圧送する機械で、
大気圧以下用途で使用する真空ポンプ場合(ドライ式 水封式 エゼクタ式)を選択します。
ポンプは、小風量で、高圧力(10㎫ 以下の高真空・超真空)用途に向いており、
ブロワは、有効吐出し圧力が200㎪(0.2㎫)以下のものと規定されています。
簡単に説明すると、必要な流量が多く、高圧力が出せる流体機械は現状存在しないので、
使用用途別に使い分ける事が重要です。
送風機について
送風機は、風を発生させる仕組みによって、2種類に大きく区分され、
その仕組みにより特徴が異なります。
遠心式送風機
吸い込み空気を半径方向に通過させ、遠心力の作用により昇圧する送風機を『遠心式送風機』と言います。
吸い込み口と吐出口が90度捻られた構造、見た目により、カタツムリ型とも呼ばれます。
構造上昇圧し易く、圧力が必要な一般産業(工業)用途に多く使用されています。
軸流式送風機
羽根車(インペラ)揚力作用により昇圧する送風機を『軸流式送風機』と言います。
吸い込出口側が水平構造、一直線に配置可能な事より、ダクト型ファンとも呼ばれ、
構造上小型化し易く、中でもプロペラファンは、冷却(排煙・換気)用途に多く使用されています。
昇圧はしにくいですが安価な為、大量生産製品(PC車)用途などに向いています。
送風機品種名称について
羽根車形状は2つの円盤(主板 側板) 主板と側板の間の子羽根(ブレード)部品構成からなります。
専門的には、ラジアル羽根車(インペラ) 形状という名目で分類されるのですが、それぞれを細かく見ていきましょう。
ターボファン、エアホイルファン
主板と側板の間のブレードが後曲羽根形状をしており、風を曲面形状板部で押し出す為、
風を昇圧し易く風切り音が少なく、モータトルク出力が効率的に風に変わる高効率形状の特徴があり、
高効率ファンと呼ばれています。
(ブレード幅を狭く羽根口径を広げる事により、高圧力型となります。)
圧力抵抗変化に対し、空気量(風量)変化が少ない為、集塵機 過給機用途向き。
圧力が高くなり、風の量が低下すると電流値が下がる為、モータが過負荷(焼損)しにくい。
という特徴です。
プレート(放射状)ファン
主板のみで側板なしで、ブレードに放射状水平小羽根が付いていて、空気中に粉塵が多く入る場合の
粉体を搬送する用途で使われています。
圧力抵抗変化に対し、空気量(風量)変化が大きく、モータが過負荷になり易いので、
少し余裕を持ってモータを選定する必要があります。
シロッコファン
主板と側板の間のブレードが前曲羽根形状をしており、風を掻きだす為、
風量を多く出す事を得意としているが、昇圧は出来ない。という特徴があります。
(大風量小圧力型)リベット構造という仕組みで、他のファンに比べて安価なので、空調用途などに向いています。
ルーツブロワ
ブロワの分類の中で、容積型と呼ばれる(ルーツブロワ)ポンプに類似構造の特殊ブロワは鋳物製で大きく重い為、
装置組み込み用途には(集塵用途)不向きとされています。
リングブロワ
渦巻き方式の羽根車構造の物は、羽根構造から小型で
ポンプより空気量が出せるのですが、圧力が一桁少ないのですが、通常のターボブロワ等に比べ高い圧力が出せます。
しかし、圧縮熱の問題で排気熱が発生するため、集塵機の様な箱内蔵型には不向きで扱いにくいとされています。
(モータ保護冷却機構が必要)
また、モータ容量750W以下の物は、100v電源で小型な為ブロア単体で
圧送等の空気輸送用途での使用が多いのも特徴です。
DCブラシレスブロワ
ターボファン羽根車を内蔵した、DCブラシレスモータと一体化したものを言います。
ちなみにですが、これは比較的高価です。
逆に、ブラシモータ式を使用したものはわりと安価で、掃除機用途として使用されています。
ただ、カーボンブラシを使用している為、連続運転に不向き、カーボン交換が必要になります。
その点、ブラシレスモータ式は、連続運転 回転数制御が可能で、且つモータが小型で周波数による性能低下がないため、
高圧力を必要とする集塵の用途に向いています。
ですが、DC電源や回路機器が必要になる事に加えて、本体が高価で、風量が多いものが無いという課題もあります。
さいごに
いかがでしたか。
今回は、少し難しい内容を盛り込んでみましたが、ご理解頂けましたでしょうか。
送風機は、単品では、あまり使用されない認知度の低い、産業界の裏方の商品ですが、
日常生活に必要とされる物を作るのに必要なもので、実は私達の身の回りで沢山使われている機械なのです。
認知度が低いがゆえ、昔から技術競争が少なく、高性能化・小型化の進化がないまま今日を迎えています。
そんな中でも弊社は、最も集塵効率の良い製品をお客様にご提供するために、送風機や集塵機、集塵ノズルの研究に日々没頭しております。
冒頭でもお話しましたが、それらをお客様の現場でどう生かすかについては、
集塵機の知識はもちろん、送風機や速度計算などの沢山の知識と経験が求められます。
株式会社ディーオは、創業から14年間、多種多様な集塵機、集塵装置の開発に成功してきましたので、
ホコリ対策でお困りの業者様は、お気軽にお問い合わせください。
株式会社ディーオは、設備環境改善に関するカウンセリングを無料で行っております。
ありがとうございました~。
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